もう何ヶ月も前に地元の図書館で予約をしていた。私の前に何十人も予約している人がいて少し忘れていたほどの時に図書館から「ご用意ができました」とメールが届いた。
本屋大賞をとった。話題の作品というイメージであったが、読み進めていく中で何度も泣いてしまった。久しぶりに小説を一気に読んだ気もする。
孤独を抱えて生きていく人々の人生の寂しさが美しい言葉で表現されており、読み進めていく中でここは泣きポイントなのかという場所で自然に涙が出てくる不思議な体験をした。久しぶりに小説を読んだし、感動ではなく言葉の美しさ共感といったところで出てくる涙が個人的には本当に不思議な体験であった。
これは自分の部屋に置いておきたい本かもしれないと思う。2回目に読んだ時に同じように涙が出るものなのだろうか。本の内容に触れるつもりはあまりなくて、とにかく本屋大賞恐るべし。もう一度じっくり読みたい。
本の中の彼女、彼らがどうか幸せに生きていってほしいと願う。と共にきっと現実世界にもこのような現状はたくさんあるのだろうと思うとやるせなくなる。
そういえば、読んでいる最中に徳之島へ行った際に見た子どものくじらの潮吹を思い出した。宿から海を眺めてご主人にくじらの潮の吹き方を教えてもらった。垂直にシュッと飛沫が上がる。
何人かで朝の海を眺めていたら、小さな飛沫が遠くで上がった。姿は見えねどあそこに鯨がいる。見ていたメンバーから歓声が上がったのを覚えている。聞こえない声に耳を傾けることの大切さと、もしかしたら自分の声も聞こえない周波数なのかもしれないと思った。
町田その子さんの他の本も読んでみようと思う。